『倉ケ岳の大池』を“必ず”1人で楽しもう
本格的な夏に入る前、その池には木々の深い緑がさらに深い緑色になって水面に映る。晩秋、鮮やかな紅葉と針葉樹の深い緑のコントラストが色の濃度を増して水面に映る。『倉ケ岳の大池』の美しさににあなたはきっと息を飲むはず。そして、鳥の声が途切れた一瞬、あなたの背中に何かが…。
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日本一おいしい湧き水が飲める場所(参照記事:金沢No.1のおいしい水)を過ぎ、最初の大きなカーブを気持ちよく曲がると左手には加賀平野が広がります。(晴れた日なら、その向こうの水平線の下には日本海が光り輝いて見えます)もう少し進むと道の下に田んぼも見えてきます。山の上で育つお米は、きっとおいしいだろうなぁといつも思ってしまいます。
左手に喫茶店がある交差点を右に折れ、倉ケ岳の案内板に沿って急な坂道をしばらく進めば到着です。「しばらく」と言っても山道の1、2分って、街の10倍ぐらいの時間に感じられ、「本当にこの道で間違っていないのか?」と途中できっと不安になるはずです。自分の体感時計がいかに当てにならないかも知ることができます。
ふもとから歩いて2時間強。車なら信号もありませんから、この絶景には案外とすぐに着きます
駐車スペースに車を停めて、細い道を少し下ると、木々の間から池の水面のきらめきが見えてきます。『倉ケ岳の大池』には戦国時代に加賀国の守護の富樫政親が一向一揆の兵に追われて切り立った岩の上から馬もろとも大池に落ちて死んだという悲しい話が伝わっています。
池の縁に1人で佇む。なぜだろう、虫の声も聞こえてこない。何やら背中がぞくっと寒くなるような非日常的な静けさが体全体にまとわりつく。しばらく水面を見ていると、真っすぐに立っていられないような、〝じわりとした不気味な圧力〟をあなたは全身に感じるはずです。霊感の強い人には「そこに何かがいる」という感覚を存分に味わってください。
晴れた日の『倉ケ岳の大池』は、本当に美しい。そして本当に怖い。
※個人の感想です……あなたも1人だけで訪れて体感してください…