きっかけは、あんこ好きの先代の情熱
おはぎをこよなく愛する店主・真田彬乃さん手作りのおはぎが味わえる『ASIAGOHAN to OHAGI ZEN』さん。ご主人のお父様とお母様が「本当に大好きなあんこを食べてもらいたい」と24年前に始めた『甘宿 善』がルーツです。『甘宿 善』はお母様お手製の小判型のおはぎ、ぜんざいなどの店内メニューが味わえる甘味処でした。
おはぎは人と人との出会いとつながりをつくる
毎朝、色彩豊かなできたてのおはぎが並び、おやつやおもたせを目当てに地域の人が集い、語らう風景。
『甘宿 善』はそんな素敵なお店でした。今、彬乃さんが受け継ぎ、日常に何気ない喜びや出会いを生み出す場として、先代が大切にしていた心そのままに、お店を営んでいらっしゃいます。
いつもとはちょっと違った、心がちょっと明るくなるようなお菓子。
心が晴れやかになったり、落ち込んだ気分を慰めてくれたり。
おはぎは日常のお菓子。もっと日常に寄り添い、心の栄養になるものを提供したい。
彬乃さんのおはぎには、日々の暮らしを包み込むようなやさしさと意思が溢れています。
そもそもおはぎの主材料である小豆は、邪気を払う食材として知られる縁起のいい食べ物。
贈り合って福を分かちあうには、ぴったりの食べ物なのです。
材料であり、製法であり、見た目の美しさであり、
ひとつのおはぎに詰め込まれたいろいろなこだわり。
地元農家さんが作った旬の食材をふんだんに使ったり、
フルーツ、スパイスやナッツなど、料理や洋菓子の感覚を取り入れたり、
そのすべてが味わいとなって、食べる側の心にしみ込んできます。
彬乃さんは「いろいろな素材を使い、おはぎで季節を感じてもらいたいです」とおっしゃいます。
基本的な材料や製法は先代の教えを忠実に守りながらも、
創意工夫を凝らして今まで食べたことのない世界を提供することで、
食べる人が季節を感じたり、昔の記憶に思いを巡らせたりできるようなおはぎを作られています。
彬乃さんにとって、おはぎは日常で体験できるちょっとした旅のようなものなのかもしれません。
一番人気のおはぎはつぶあん
お店には、定番のおはぎが6種類。季節のおはぎが2種類並んでいます。
中でも人気はつぶあん。
小豆の粒をつぶさないように炊き上げ、小豆そのものの食感を感じられるように仕上げるのが先代から教わった製法。甜菜糖、サトウキビでコクを出し、珠洲の塩を隠し味に加え、甘味を引き出します。銅鍋で少量ずつ炊き上げるのも変わらない製法です。小豆の状態を確認しながら均等に混ぜることで思い通りのあんこに仕上げる手間をかけています。
しっかりとした甘味がありながら、キレのある後味。
小豆のふくよかな香り、小豆本来の旨味がしっかりと楽しめる
澄みわたった青空のような清々しいあんこです。
TV番組で紹介されたアーモンドココナッツおはぎ
こちらは、テレビ番組で紹介されて以来、大人気のアーモンドココナッツおはぎ。
アーモンドの香ばしい風味、そしてココナッツのやさしい甘さ。
みずみずしい餅米とあんこが絶妙なハーモニーを奏でます。
「自然な甘さがあって、あんこが苦手な人でもお召し上がりになられますよ」と彬乃さん。
取材途中、黒豆の話をきっかけに海外の旅の話題になりました。
「タイ、ベトナムにも小豆の文化があるんですよ」と彬乃さん。
おはぎを通して広がる、出会った人やおいしい食べ物などの話は尽きることがありません。
自然に笑顔になって、会話が生まれて、ちょっとポジティブになって、あたたかい心に満たされる。
この店のおはぎが愛される理由が少しわかった気がしました。
あんこを愛した義父の忘れられないことば
たかがおはぎ、されどおはぎ。
これはあんこを愛した義父が遺してくれた、忘れられないことば。
彬乃さんは、毎朝のあん炊きから仕上げまで一つひとつ、ひとりで手作りされています。
そのおはぎには、『甘宿 善』の頃からのお店の心を守っていきたいという想いが込められています。
「昔ながらのおはぎを大切に守っていきたいです」
取材の最後に彬乃さんがおっしゃいました。
先代から受け継いだ温かい心をのせて、今日も彬乃さんのおはぎは幸せを届けています。
店舗情報
- 店舗名
- ASIAGOHAN to OHAGI ZEN
- 住所
- 石川県金沢市神宮寺2-10−11
- 電話番号
- 076-251-1060
- 営業時間
- 11:00~16:00※なくなり次第終了
- 定休
- 日曜、月曜
- Information
- 飲食スペースのご利用は営業時間が異なります。おはぎのみの店内飲食は不可。