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クリエーターの声

金沢で稼ぐデザイナーに『06:若くても高収入が…』

30代の(優秀な)クリエイターは意外と高収入

零細企業が多いデザイン会社。将来の収入に不安を持ち、転職する人も多くいます。だけど、優秀なデザイナーはどんどん収入が上がっていく、面白い職種です。同期入社でも格差が生まれますが…

クリ絵(26歳)=グラフィックデザイナー歴4年目の向上心旺盛な女性。ようやく担当のクライアントを持ったが、デザイン業界の将来性に不安を持っている。
師匠(55歳)=地方都市でデザイン制作会社を経営するアートディレクター。約20名のクリエイターとともに多くのクライアントの様々な案件に取り組んでいる。

クリ絵:デザイナーの私の収入は、これからどうなるのかしら?

師匠:何か答えにくい質問だね〜。

クリ絵:私、心配なんです。一生の仕事として続けていいけるのかどうか。今の収入は低いし…ずっとこのまま低かったら転職も考えなきゃいけないのかなって思って。

師匠:心配しなくていいよ、実力が付けば。じゃあ、ざっくりと質問に答えるね。
デザイン会社の場合で言うと20代から30代までは仕事を頑張ればどんどん収入がアップします。この業界は基本的に男女の格差もないし、ベテランと若手間の待遇面も、理不尽なほどの差もないし。実力給とか技術給という素敵な考え方が業界に浸透しているからね。

クリ絵:どんどん収入がアップですか。私の場合は、経験が浅いから、実力が付いてくるこれから期待できるのか…

同期入社でもボーナスで100万円以上の差がでる

師匠:実力給の例だけど、以前以あったうちの会社の例をこっそり教えるね。
Aさんは定時に帰るために無理しない程度に仕事をする人。
Bさんは残業もいとわずに複数の仕事をどんどん引き受けてくれる人。
2人は中途入社で、デザイナー経験もほぼ同じの30代。
上司は無理を聞いてくれるBさんに仕事を頼むことが多くなって、入社5年後にはボーナスだけで年間に150万円近くの差が出たんだ。デザイン能力も仕事量に比例してどんどん開いてくるから、結局毎月の月給額にも差がついてしまって、年収の差はもっと大きくなったんだよ。
実は、Aさんは早く帰って、家で印刷会社や広告代理店から頼まれてアルバイトもしてたらしいのだが、年収で200万近く同期より低いんだから、どっちが良いのやら・・・だよね。結局は給料が不満で辞めちゃったけど。

クリ絵:そんなに差が出るのかぁ。

師匠:能力差が出やすい職業だからなぁ。経験5年の20代グラフィックデザイナーと経験15年の40代グラフィックデザイナーの年収が逆転する事もあるわけだよ。これって、若い人には頑張りがいがあるんじゃない?
大都会でも地方都市でも本当に優秀なデザイナーなら、経験5年・20代後半ぐらいで年収600万円は超えると思うよ。月給は低めだけど、ボーナスの時に社長賞とかが100万円以上付けられて。

35歳ぐらいまでは大手広告代理店のクリエイターと年収は変わらないかもな。あくまでも優秀で真面目な人の場合だけど。
35歳過ぎから仕事の処理能力にかげりが出るから、デザイン会社では収入があまり上がらないかも。アートディレクターとして人を使ったりして仕事をこなせれば良いんだが、会社を辞めて独立する人も出てくる年代だね。

40歳以上からは人を使ったり、新規の仕事を獲得するために新しいスキルが必要となる時期で、うまく仕事を回せる優秀な人は1,000万円クリエイターになれる…。こんな感じかな。

独立したらすぐに1,000万円プレイヤー?

クリ絵:じゃあ、会社に残らずに独立したらどうなるの?

師匠:仕事をしただけ稼げるだけさ。
逆に病気になったら無収入になるし、仕事でミスをすれば立場が弱い分、相当ひどい目にあうけどな。それでもやりがいがあるかもね。独立してすぐに年収1,000万円を超える人はいっぱいいるよ。でも40代ぐらいから歳を取るごとに収入が落ちて苦労しているようだけど。

クリ絵:すぐに1,000万円プレイヤーか。でも本当ですか?

師匠:本当さ。私の場合で言うと、休みが1年間で1桁しかなかったなぁ。お盆休みも正月休みも取れなかったし、子どもの卒園式や入学式にも出られないし。人生のすべてを仕事に捧げていたな、独立してからの5年間は。

クリ絵:休みが1年に数日…何か辛そう。独立してもマイペースに、豊かに暮らしたいですけど。

師匠:小さい規模の仕事をそれなりにこなして、自分の時間が持てるように引き受ける量をコントロールすることかな。当然収入は少ないだろうけど。だけど君には無理かな。

クリ絵:なぜ私には無理なんですか?

師匠:ふふふ…優秀な人には仕事が集中するからね。休みなんかまともに取れなくなるから。君が優秀で独立を考えるのなら覚悟を決めるんだね。

クリ絵:なんの覚悟?

師匠:ワークライフバランスなんて忘れて、休みなく働き、たくさん稼ぐ覚悟さ。

クリ絵:休みなくかぁ…。

クリ絵が分かったこと

35歳までがデザイナーとして旬の時期。実力給だから能力に応じて収入もどんどんアップする(はず!)。
若いクリエイターにはやりがいがあり、ベテランには厳しい職業である。

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nishitoshi

nishitoshi

アート・ディレクター/会社経営

地方都市で約20人のクリエイターが所属するデザイン会社を経営。若いデザイナーでも豊かに暮らせる待遇にしていきたいと本気で思っているのだが、まだ道半ば…。毎月必ず厳かで美しい神社にお参りし、真面目に仕事に取り組むことをデザインの神様に誓っている(ちょっと時代遅れの)ディレクター。

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