発酵の魔法に魅せられて30年。熟練シェフが営むベーカリー
金沢市有松のベーカリー「アリスファームキッチン」さんは、パン職人歴30年以上の内藤シェフが営む実力派ベーカリーです。1992年にオープンして以来、人気店がひしめくパン激戦区・金沢南部でパン好きに一目置かれる存在。内藤シェフといえば、フランス仕込みの伝統製法を追求するパイオニア。その源流は、お母さんがパン好きの聖地「広島アンデルセン」に勤めていた関係でいつも家にパンが身近にあった少年時代。大人になってピアノ調律師として働いていた頃、なにげなく訪れたパン屋さんの奥で膨らむパン生地を見た瞬間、発酵の神秘に魅了されてパン職人の道に入ります。
日々進化する熟練シェフの技。ハード系の先入観を覆すやさしい味
金沢の老舗ベーカリーで修業して、1992年にアリスファームキッチンを開業。当時はふわふわで白くてやわらかいパンが主流だった時代です。フランスに度々渡航し、本場のパン作りを経験した内藤さんにとってフランスパンが並ぶショーケースは理想でした。フランス仕込みのパンを日本風にアレンジし、生地作りからフィリングまで、試行錯誤を繰り返す日々。発酵という未知を相手にするベーカーは発見の連続。今、長く愛されるパンも食べる方が気付かない新しいアイデアを少しづつ加えながら、アップデートされています。そして積み上げた30年の歴史。シンプルに小麦の風味が香り立つバゲット、親しみやすい調理パン、ヨーロッパの旅で出会ったパン。ハード系のお店なのにどこか親しみやすい雰囲気があるのは、地元で愛されるパンをずっと提案してこられたゆえ。さりげなく並ぶパンにもその奥には長年の研究の成果がぎっしり詰まっています。そんなアリスファームキッチンさん、もちろんあんこのパンも充実しています。
生地使いで千変万化。夢のようなあんパンワールド
あんこを使ったパンは7種類。プレーンなあんぱん、あんことクリームチーズのリュスティック、木の実のあんぱん、あんどーなつ、あんバター、あんことクリームチーズのデニッシュ、いちじくとピスタチオのあんパンとバラエティ豊か。すべて長年の経験で培った独自の配合で作った生地、自家製の粒あんを使用しています。生地や合わせる食材によってあんこの味わいが変わるのがすごいです。生地の香り、食感、風味を計算し、あんこが引き立つ絶妙なコンディションを整えるパン技術こそ、まさに神業です。あんこ魂をくすぐる逸品揃い。世のあんこ好きさんはたちまち魅了されてしまうはずです。
十勝産の小豆を使ったオールマイティな自家製粒あん
アリスファームキッチンさんの自家製あんこは、北海道十勝産の小豆を使用した粒あんです。三温糖でコクを出し、最後に塩で甘さを引き締め、キリっとした味わいに。半分つぶしあんなのでまとまりがよく、様々な生地や具材との相性も抜群です。パンに使うフィリングはあんまり水分を飛ばしすぎても水分が多くても良くなく、パン生地と合うかが肝。内藤さんのお店ではあんこを一度に大量に作らず、鍋に目をかけながら必要な分だけもこまめに作り、適度なしっとり感をキープ。クセがなく豆の自然な甘みがあり、最後までパンをおいしく楽しめます。
いちじくとピスタチオのあんパン。いちじくの甘酸っぱさ、ひきのある生地にあんこが絶妙に合います。
奥深い発酵の世界を探求し、進化し続けるベーカリー
パンの世界に入って30余年。今も発酵の神秘に魅せられ、新しい製法を研究し、進化を続ける内藤シェフ。「どこまでやっても究められない」とパンへの好奇心と探求心は尽きません。アリスファームキッチンさんのパンを食べるとなぜかほっとした気持ちになります。それはパンに対する純粋な想いが一つひとつのパンに表れているから。素朴でまっすぐなやさしさ溢れる内藤さんのパンは、忙しい毎日に食を愛おしむ時間の豊かさを思い出させてくれます。
店舗情報
- 店舗名
- アリスファームキッチン
- 住所
- 石川県金沢市有松5-10-24
- 電話番号
- 076-243-2625
- 営業時間
- 7:30~17:00 ※木曜は~14:30
- 定休
- 火曜
- 駐車場
- 6台